診断・治療を目指す金属錯体
診断・治療を目指す金属錯体
金属と配位子から生成する金属錯体は構成要素の機能の和を超える機能を創発します.当研究室では金属錯体の分子設計を通して医療診断・治療に資する吸光,発光,光熱変換,光変換,分子認識,生体環境認識,磁気緩和,中性子捕捉など多機能性を創発する金属錯体を創製しています.
主な研究テーマ
- 多機能性ランタニドクラスター錯体
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チアカリックスレーンは自己組織的にランタニドを3個有するクラスター錯体Ln3TCAS2を生成します.Lnの種類により可視・近赤外発光,磁気緩和等のシグナル機能を創発します.現在バイオプローブへの応用,異種Ln間相互作用に基づく光エネルギー変換,中性子捕捉を利用した中性子捕捉療法への応用に挑戦しています.
- ジラジカル錯体
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o-フェニレンジアミンの白金(II)錯体はジラジカル電子構造を持つため,近赤外(NIR)領域に強大な吸収帯を持ちます.さらにpHや電位等の環境に応答してNIR吸収をon/offスイッチさせます.本錯体は無蛍光性であることから高い光熱変換機能を有するため,これらを利用したがんの光音響イメージング,さらには光熱治療の実現に向けた研究に取り組んでいます.
- 柔軟な骨格を有するランタニド配位高分子
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私たちが見出したランタニドと三脚型シッフ塩基から生成する配位高分子は,合成条件を変化させることで細孔形状が変化します.また,細孔内のゲスト分子を除去したり吸着させたりすると高分子構造が壊れることなく細孔形状が変化します.現在,この骨格の柔軟性を利用した分離やセンシングに関する機能を開拓しています.