身の回りにも化学がたくさん
現象を理解することで世の中の見方が変わります。ちょっと不思議で、「ナルホド!」な現象をご紹介します。
1 チョコレートの美味しさのヒミツは「化学」にあり!
チョコレートの品質は味や香りのほかに、くちどけや表面のツヤ、スナップ性(パリッと割れる性質)で決まります。
糖分や香りの成分は構成する化合物の種類で決まりますが、
その他の「チョコレートの味わい」は化学的な性質で説明することができますよ。
チョコレートは油脂の結晶なので、口に入れたときの「くちどけ」は
その油脂の融点により決まるので、構成している油脂が変わることで融点が変わりくちどけにも左右するのです。
つまり、「油脂を調整することでパリパリ食感から、
低温でも口溶け滑らかなチョコレートも作れる」というわけ。
表面のツヤは「見た目をよくする」大事な役割があり、
またスナップ性といわれるパリンと割れる性質も
食べやすさや食感を決める大事な要素です。
これらはすべてチョコレートの油脂結晶の大きさや
配列のキレイさによるものなのです。
チョコレートを食べながら、「すごい化学」を感じませんか?
2 お米を美味しく炊くコツは“化学工学”にあり!
炊飯器によって、お米の炊き加減、おいしさが変わるのはなぜでしょうか?
お米をおいしく炊くコツは急速に内部まで加熱することです。熱が伝わりにくい気体とは異なり、液体は熱を伝えやすいので、
お米の内部まで水をしっかり浸透させることで内部までの熱の伝達が早くなるのです。
お米が炊けるという現象の正体は、お米のでんぷんのα化(糊化)です。
α化は高温で促進されますが、そうすると水(液体)は水蒸気(気体)にかわってしまいます。
高温にしつつ、伝熱の良い液体の状態を保持するためには、どうすればよいのか。
答えは圧力をかけながら炊飯することです。
熱伝導、対流と圧力が重要な要素であるため、炊飯釜には銅などの熱を伝えやすい物質をコーティングし、
外側と内側にはデコボコや溝のある構造に加工してあります。
外側の溝には熱の伝達をよくする役目があり、
内側の溝で対流を乱れさせることで良く混ざり熱が早く伝わるようになるのです。
これにより、釜の外側から徐々に熱が伝わる釜の中を均一に温めることができます。
家にある炊飯器を開けて、炊飯釜を見てみましょう。
(必ず、ご飯を炊いていないとき、保温中じゃないときに見てみてくださいね!)
現象の仕組みがわかると、どんな「カタチ」にすればよいのかが見えてきます。